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2024.02.20倉石 友美

部下のやる気に火をつける天才

「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助さんは、
同時に人のモチベーションに火をつける天才でもありました。

例えば、「部下に意見を求め、採用する」こと。

松下幸之助さんは、廊下ですれ違った入社1年目の新人さんにも、
「君、この会社を良くするために何か意見はないか」と
とにかく意見を求めまくっていたことで有名でもあります。

社長に意見を求められた新人さんは、
驚きながらも嬉しい気持ちになったに違いありませんし、
それが採用されたらもっと頑張ろうという気持ちになったことでしょう。

こんなエピソードもあります。

松下幸之助さん含めた幹部会議で、ある施策の実行を決め、
会議が終了した時のこと。
ある若手社員が会議室に入ってきました。

「社長、ご提案したいことがあります」

話を聞いてみると、その提案の内容は、
たった今、会議で実行を決めた施策と全く同じことでした。

経営幹部たちは
「それは今、自分たちが決めたところだ。自分たちの方が先に思い付いた」と思っていましたが、
松下幸之助さんの反応は違いました。

「なるほど!これは素晴らしい提案だ!
よく言ってくれた!
早速それを実行しよう!
ついては、君がこのプロジェクトのリーダーとしてやってくれるか?」

提案した若手社員は感激し、
張り切ってプロジェクトリーダーの仕事をやり切ったということです。

この時、こんな風に言っていたらどうでしょうか?
「お、その意見は、たった今、会議で決まったものと一緒だ。
せっかくだから、君がプロジェクトリーダーになってくれるかい?」

事実ではありますが、やる気を引き出すという意味では今一つですね。

意見を求めるということは、
「あなたには参考になる意見を言う力があると私は思っている」
というメッセージを部下に伝えることになり、
部下を認めることになります。

部下から出てきた意見が今一つ…という場合は、
すぐに却下したり否定したりするのではなく、
「いい意見だと思う。
ただ、この点についても考えなければいけないとすると、どうかな?」と
更に意見を求め、
採用できるレベルまで部下の意見を引き上げられるとベストです。

「自分が考えたことが採用された」と感じることが、
部下の自己効力感を高め、やる気を引き出すポイントの一つとなります。