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2023.07.07倉石 友美

強みを伸ばすか、弱みを克服するか?

皆さんご存知のように、人には強み弱みがあります。
部下や社員を育てようと思ったとき、
強みを伸ばすこと、弱みを克服すること、どちらに力を入れますか?

私たちが学生だったとき、
多くの方は「苦手科目を克服しなければ」と思っていたと思います。
その延長線で、「部下には弱みを克服してもらわなければ」と思っていませんか?

しかし、これは多くのマネージャーが陥りがちな落とし穴です。

一人で全ての教科をこなさなければいけない学生の試験と違って、
仕事は分業です。

強みに着目し、得意なことを任せる。
これが、生産性とやる気を高めて上手に部下を育てる基本方針です。

例えば、「ストレングスファインダー」で有名なギャラップ社が
2000人以上のマネージャーを対象に行った研究では、
部下の強みを伸ばす指導をしているマネージャーは、
そうでないマネージャーよりも約2倍の成功をおさめていたとのことです。

一方、個人の「問題点」「欠陥」「機能不全」を改善しようとする
「弱み中心のアプローチ」は、
部下の防衛的反応を引き起こしたり、
改善意欲を低下させやすいことが報告されています。

また、「現代経営学の父」と呼ばれているピーター・ドラッカーも、
「マネージャーの第一の務めは、人材の強みを引き出すことである」
と述べています。

このように、強みを伸ばすアプローチが有効であることが
多くの研究や論文で示されているにもかかわらず、
私たちはついつい、
部下の弱みが目につき、克服させようとしてしまいます。

それはなぜでしょうか?

「はじめての課長の教科書」の著者、酒井穣氏の言説を引用します。

——
まず、強みや弱みというのは他者との比較による相対的なものです。
相対的なものだからこそ、自分の強みは、あくまでも他社の弱みとして見える
ということに注意すべきでしょう。

自分の強みに関することでは
「〇〇さんは、どうしてこんな簡単なことができないんだ…」
という風に感じられてしまうのです。

他社の評価をすることになる管理職は、
この事実を理解しておかないと、
部下を正しく評価することはもちろん、
本当は優れた強みを持っているかもしれない部下を
辞めさせてしまうことにもなりかねません。

—引用終わり—–

私にも思い当たる節があり、胸が痛いです。

「自分にとって簡単なことは、他者にとっても簡単なはずだ」
「こんなに簡単なことがやれない部下は、怠慢だ」
そんな風に、自分の基準で他社を評価する視点から抜け出すことが必要です。

さて、だからといって、
部下の致命的な弱みをそのまま放っておいていいか、
というとそうではありません。

「弱みの無意味化」が基本戦略となりますが、
その話はまた次回。